
アメリカ人はフェアではないと言うことに対して、とても激しい感情を持つとよく言われます。
太平洋戦争開始時の真珠湾攻撃はだまし討ちだとして、アメリカ国民を煽り立てたように。
一方で日本では、フェアでないと言うことに対してはとても寛大な国民性があります。
ダブルスタンダードなんて当たり前、不正、ズル、インチキ、八百長、ごまかし、粉飾、やらせ、談合、挙げ始めればキリがない、何でもござれの国です。
先日、こんなニュースが目に止まりました。
内部告発に報奨80億円 米政府、銀行舞台の脱税巡り
スイス大手銀UBSを舞台にした脱税事件を巡り、米政府が情報提供者の元従業員に1億400万ドル(約80億円)の報奨金を支払った。米の内国歳入庁(IRS)が明らかにした。
NPO「全米内部告発者センター」によると、米国で内部告発者に支払われた報奨金では過去最高額。 UBSは、米国の顧客が海外に口座を移して脱税する手助けをしていたとして米政府に提訴され、2009年に7億8千万ドルの制裁金を支払って和解した。
顧客らは計約50億ドルを徴収された。 報奨金が払われたブラッドリー・バーケンフェルド氏は、UBSを05年に退職した直後から米当局などに脱税を手助けする具体的な手法について情報提供を続けた。
米国では06年、内部告発をきっかけに回収した脱税分の最大30%が告発者に報奨金として支払われる制度ができた。(ワシントン=山川一基)内部告発者に報奨金を支払うというのは、とてもいい制度ですね。
さすがはアメリカだと感心しました。
日本でもこういう制度を導入すれば、金融犯罪(不祥事ではありません)は、激減すると思うんですが。
オリンパスの社員が内部告発して不当な人事を受けて裁判で争ったように、日本では内部告発するのはとても大きなリスクを伴います。
今の日本では、内部告発者保護制度は、まともに機能していません。
でも、億単位の報奨金がもらえるのなら、もうそんな会社にしがみつく必要もなくなりますから、リスクは消滅したも同然です。
東京証券取引所や証券取引等監視委員会はインサイダー取引をした会社の内部告発者に対して、こういう報奨金を支払うようにすれば、そのアナウンス効果だけでインサイダー取引は激減するでしょうね。
証券取引は世界に開かれた市場ですから、日本独特の不正に対する甘い対応をいつまでも続けていると、見放されてしまいます。
他の企業犯罪(不祥事ではありません)も、課徴金を大きく引き上げてその一部をプールしておき、そこから内部告発者への報奨金を支払えば税金の負担もなく、逆に内部告発の増加で課徴金が大きく増えて国庫は潤うことになるでしょう。
フェアな国として世界的な評価も上がり、海外からの投資も増えて経済も活性化すると思います。
でもまあ、経団連の米倉あたりは猛反発して来るでしょうから、こういう制度の導入は難しいでしょうね。
国際競争力が低下するとかいう理屈を付けて。
不正をしなきゃ勝てないようなら、もう海外という土俵に上がる資格もないはずなんですが。
森の中に、古くて中が腐っている巨木が残っています。
この巨木が倒れれば、日の光が降り注ぎ、そこに新しい芽が生まれる土地ができます。
倒れた巨木は虫に喰われ菌によって分解されて、新しい芽の養分となっていきます。
今、日本という森には、こういう巨木がいっぱい残っています。
今はまだ無理やり立たせていて日の光を遮っていますが、いつまでも今のやり方で立ち続けていられるはずはありません。
いずれ、それらは一斉に倒れ始めます。
その時まで、じっと力を蓄えて待っていれば、大きなチャンスが訪れます。
それは、もうそう遠くはないはずです。
おっと、世界から見れば、日本がその巨木だったりして・・・。